リンゴの剪定
色々見たり読んだりするがなかなか理解が進まないのがリンゴの剪定方法。
無理を承知で素人にも分かる方法論を整理してみる。
樹勢の維持
リンゴの木に限らないが、木には樹齢に応じて樹勢がある。若い木は大きくなろうとする。樹勢も年々拡大させる。エネルギーは木そのものの成長に費やされる。
樹齢を過ぎた木は木の成長より、子孫を残すことにエネルギーが使われる。樹勢が衰えていると、花を咲かせ、実をならせるにしても徐々に弱弱しいものになる。
その中間の時期は、花も実も元気に付ける。リンゴを収穫して賞味するにはベストな時期だ。
樹勢を長く維持するには、頂点に向かって伸びる枝を残しておくこと。
普通は、管理の問題で1本だが、ツインタワーになっていても構わない。
日照の確保
光りは樹勢維持にも、美味しい果実にも必要。十分当てることも大事。
そのためにやることは、枝は横に伸ばし、上下方向には伸ばさない。単純な構造をイメージする。頂点に向かって伸びる枝(幹)から出る枝は基本的に全て横方向になる。それを一次枝とする。
一次枝からも枝(二次枝)が出て来るが、その枝は、上に出るものや、下に出るものはカットする。横に出る枝だけが二次枝として許容される。二次枝から出て来る三次枝についても同じ発想をする。
以上が基本形。
頂点(幹の上)は何処まで伸ばすか?。これは出来るだけ高くまで伸ばすが、管理限界を超えては無意味なので、枝切りバサミが届く範囲までで止めておきたい。摘心。
一次枝は、管理限界の考え方で、容易に手が届く範囲を超える高い位置から出た一次枝はカットしてしまう。一次枝の数が10本にもなっていたら剪定ミスだろう。
一次枝の管理のもう一つの要点は老化対策。樹齢を重ねると下に垂れ下がってくることへの対処。枝が下を向き始めたら、適当な場所の上向きの枝を1本残すようにして一次枝の切り替えをやる。垂れ下がったものは垂れ下がった部分をいきなりカットしてはいけない。上に伸ばした枝が十分成長して切り替えが終わってからカットする。
内向きの枝、交差する枝、などの剪定は通常の剪定と同じ。
幼木はあまり剪定に神経質になることもない。根を十分張って樹勢に勢いを付ける方が良い。根に力が無いと剪定そのものが目論見外れになりかねない。
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農業など生産用のリンゴの木は収穫量と生産性の観点からY字型や、ベンツのマーク型にしているが、多分、基本的な理解は同じだろう。ガーデニングで庭の隅でやる場合は、図体の大きいリンゴの木は、ダブル・トリプルの半主軸を横方向に引き回すのはスペース的に厳しい。広い庭で余裕があれば生産農家スタイルで樹形を作っても良い。
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<狭い庭に植えたリンゴの剪定>
- 狭いには横方向の制限が強い。縦方向はそれほどでもない。
- どうせ園芸だから収穫量は求めないし収穫のしやすさは必要ない。
- 観賞に耐えることも必要だから歪な誘導は行わない。
- 結局、円柱仕立てしか残らない。正確には許容スペースの投影面のまま上に立ち上げる。円柱でも四角柱でも三角柱でも構わない。あまり歪な形にしないこと。
- 高さ制限、芯止めは高枝切りバサミの届く範囲。4メートル~5メートル程度。ぎりぎり届くところでノコギリ刃を使って切るだけだから簡単。
- 下部は隣の植物などとぶつかるのでスペースは狭く、上部はフリーになるのでスペースは広くなるが、一定の高さ(高枝切りバサミの高さ)になる。結果、円錐を逆さにした形になる。上手く行けばリンゴのパラソルになる。