樹木を冬越しさせる
温暖な地域で育つ樹木は当然ながら寒さに弱いものだ。冬越しは大きなテーマになる。南から北へ樹木を運ぶ場合はいくつかの中継地で冬越しを何回か経験させながら移すという』話も聞いたことがある。余程気に入った樹木なら10年掛けて移すのも理解できる。
金沢兼六園の冬支度のニュースを見ると雪の重さで枝が折れないように縄でつったり、寒さで枝や幹を凍害から守るために藁(むしろ?)のようなもので撒いたりしている。名所だから其れくらいのコストを掛けても勘定が合う。また冬支度の姿も売り物になる。
個人の庭で出来ることは何だろう。
- (樹木の足元)
冬が来るたびに地上部は枯れてしまうが春になると根元から新しい芽が出てくる。地面の下は地熱もあって暖かいのだ。だから足元の対策は意味がありそうだ。チップなどでマルチング。腐葉土を置いてもいいだろう。風で飛ばない工夫が出来れば普通の落ち葉でもかまわない。 - (幹・主要な枝)
植物性の布を巻きつける。多分、麻か何かで出来たテープ上のものが販売されているはずだ。しかし、植物自体が恒温性を持っている訳ではないから有効性はやや疑問。急速な温度変化を受けにくくする効果はある程度期待できる。気休めかな。 - (枝先(成長点)・花芽)
ここが一番の問題。温暖地の植物は時としてさっさと花を咲かせる準備を始めるものがあるようだ。大事なところが真っ先に冬将軍の餌食になってしまう。ここの対策はどうするのだろう。朝方の冷え込みに対処するため、全体を覆うことは苗木なら可能だが、おのずと限界がある。⇒冬芽(ふゆめ?)の越冬
<イチジク・ケース>
- 足元はマルチング。これは地熱の放出を妨げるので否定的な見解が多い。しかし根っ子だけでも護るにはマルチングは放棄できない。
- 主要な枝は藁(わら)を巻きつける。運よく農家があればもらえる。この頃はホームセンターで販売されることも有る。撒きつけるとき、風で飛ばないように縄でしっかり固定するが、冬芽が出ていたら傷めないように注意する。
- 藁を外すのは霜の心配がなくなる磁器を選ぶ。
- 藁を外して先端の冬芽の痛み具合を確認し、凍害を受けていたら、枝の緑色が茶色に変色する辺りで剪定する。新しい芽の発生は直下の節目から出てくることが期待される。
- 樹高が低いと凍害を受けやすいので初期は高さを稼ぐように剪定あるいは誘導する。防寒対策(藁巻き)は縦方向の枝を優先する。横方向に伸ばすのは地上1.5~2.0メートルを確保してから。
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樹木の足元
- 植えるときはやや高床になるように土を盛ってから植える。水はけの確保とゴミなどが溜まるのを防ぐためだ。
- 足元には大き目のチップでマルチングをほどこす。
- 雑草は抜いて除去する。
- グランドカバー(シバなど)を足元まで広げる場合は草丈は出来るだけ短めにする。
- 樹木の下には出来るだけ他の樹木を植えたり花壇を作ったりしない。
- 雨水が葉を伝って地表に落ちる位置に根が伸びているので雨水の流れを妨げないように注意する。勿論、程度問題ですから留意事項として。
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