(庭の踏み石)
雑草戦争、なかなか奥が深い。
理屈と現実にギャップが生じるから面白い。加えて、時間が掛かるし、その場の気分で手を動かしてしまうことも多々あるから、ギャップは更に広がる。
今回は、<日陰ゾーン>に注目して考察する。日陰の場所は日ごろから目が届かないし、お世話も十分出来ていません。都市計画では有りませんが、①通路の確保と②掃除(ゴミ、石、枝・落ち葉など)が最初の仕事です。
《日陰=通路踏込エリア》
ここを芝(シバ)で攻めることは最初から無理。踏みつけても耐えられる日陰に強いグランドカバーが理想ですが、日陰は植物の成長も遅いですから、尋常の管理では先ず無理でしょう。植物以外のグランドカバーか踏み石を検討すべきでしょう。
(1)玉砂利:
立派な玉砂利でも砂利は砂利。踏むと煩いし(泥棒よけにはなる?)、歩き難い。砂利が散らばり回収・補給が必要。砂利の下の土は固めて砂利を敷いた左右のエリアを遮断してしまう。
⇒好ましくない。
(2)踏み石:
石の下の土は固めるが、石間に隙間を作れば交流できる。本物の石は高いし重いし扱いが大変だが、擬似的な踏み石が容易に入手できる。踏み石は良く通るところは両足が乗るサイズ、滅多に行かないところは片足が乗るサイズで充分でしょう。勿論、全部両足サイズでも全く問題ありません。
⇒好ましい。
(3)踏み木・踏み板:
すわりが悪い、濡れると滑りやすい、痛みやすい。
⇒好ましくない。
(4)木材チップ:
砂利と同じように通路にチップを敷き詰める。クッションになるので下の土に対するダメージは少ない。チップも散らばるので補給は必要だが、散らばった分の回収は神経質になる必要は無い。ただ、チップを敷くのはマルチングと言って人に踏み込まれないようにする施策であり、チップの意味づけに矛盾が出て感覚的に好ましくない。また踏んだ感触は良くない。
⇒やや好ましくない。
※玉砂利や、木材チップ自体をグランドカバーに使う発想もある。グランドカバーと言ってもステップストーンの周囲が中心になる。
(結論)
日陰ゾーンの中で主に歩く場所は踏み石(プラ製の廉価版)を配置する。
踏み石の周囲は、踏まれても構わないもの(砂利、チップ、苔)を配する。
※
《日陰=植樹植栽エリア》
植樹・植栽エリア。日陰にも花木を植えるが、その足元・周囲はグランドカバーで固めたい。通常は踏み込まないエリア。
(1)木材チップ:
マルチングも兼ねて利用。アクセントにもなって悪くない。チップ自体は日陰に限らない。
(2)龍の髭/タマリュウ:
タマリュウ自体は日陰に限らない。シバより幅広く使える。ただ、高いのが玉に瑕。少量を買って自家増殖が良さそうだ。
(3)アジュガ:
地味。雑草と見間違えるくらい地味なカバーです。これで花が咲かなかったら意味が無い。品種が色々あるのでミックスで楽しみたい。何箇所かに植えてお気に入りの場所を見つけて増殖させてやりたい。
(4)赤紫蘇(シソ):
常緑ではないが力が強いので当座は一番有望。高さがあるので足元は空いてしまうが、シソの密度があれば日陰になって雑草は伸び難くなる。一番雑草が伸びる夏場の対策に使えれば充分。零れ種で翌年も雑草の抑制に効果的。赤紫蘇は梅干、シソジュースなど用途も広いので多めに繁殖させても問題ないでしょう。
(結論)
日陰ゾーンの植樹・植栽エリアの隙間は先ず効率の良さそうな赤紫蘇で覆い尽くす。タマリュウ、アジュガは徐々にエリアを広げていく。
木材チップは冬場の対策、花木の要求特性に応じて利用。
※
スミレの仲間:
タテハチョウの幼虫が餌にしているスミレの仲間(スミレ、パンジー、ビオラなど) は勝手に増えてほぼ雑草だが、冬も花を楽しめることを考えて、一定の場所を利用しても良い。この場合は品種を特定して通常の植栽と同じ扱いにする。勝手に広がっているスミレ類は雑草として処理。(勿論、スミレがお気に入りの場合はスミレをグランドカバーにしても全く問題ありません。)
※
《日陰ゾーンの雑草対策》
日向も日陰も同じ。雑草対策の基本は植物利用のグランドカバーです。それでもグランドカバー用の植物の中に雑草が分け入ってくる。グランドカバーが追いつかない場合はマルチングで逃げる。
(1)カッティング:
カットはNG。カットが許されるのは最初の草ぼうぼうの状態のときだけ。或いは極端に雑草の背丈が伸びてしまった場合。
(2)ドローイング:
引き抜きもNG。土を露出させて新たな雑草の種が入り込むだけ。引き抜くしか方法が無い種類の雑草に限定。もしくは、浸透型の除草剤が使いにくい場合。
(3)ケミカル(除草剤):
基本は浸透型除草剤。通路・踏込みエリアで植栽に掛かるリスクが無ければシャワーしてもよい。リスクがあるところは慎重に筆塗りにする。日陰の植物は成長が遅いので浸透女装の項が出るにも時間が掛かる。
(4)マルチング(木材チップ/砂):
除草剤利用のリスクが高い場合、植栽の直ぐ近くの場合は樹皮チップマルチングの有効性が高い。
日当たりが極端に悪かったり、土壌の質(酸性アルカリ性)が悪かったり、踏み固められたり、超粘土質だったりして、劣悪な環境の場合は、グランドカバーの植物も使えず、どう頑張っても雑草しか生えない。と判断した場合は、当座の策としてマルチングの手法をとる。この時、先の土壌改良を視野に入れて、砂利使用は避けること。木材チップ、細かい刻みのチップが良い。砂を敷いて上にチップを乗せれば、チップの乾燥状態が維持できるので多分ベスト。
(土壌改良)
土壌改良は暇な時間を見つけて順次取り掛かればよい。(:地表に砂・チップがあれば、脇に除けて深さ20~30センチまで耕す。粗めの篩いを使って、石・ごみ・枯れた根などを取り除く。砂、チップも混ぜる。土質が悪ければ腐葉土を加える。植え込み利用を想定なら、土中に潜む雑草の種を考えて発芽抑制剤を混ぜる。
土壌改良後は雑草が動き出す前に、植栽の植え込みを行う。急ぎの当てが無い場合は、グランドカバーを施しておく。
※
<作業手順>
どういう順序で進めるか?
- 歩いて通る頻度の高いルートに踏み石を並べる。歩きやすい間隔で。ぐらつく時は下に細かい砂利か砂を敷く。踏み石を少し埋め加減にする。三分の一くらいが減り込むようにする。季節は冬。
- アジュガ、タマリュウ、赤シソなど自分で剪定したグランドカバーを植え込む。出来るだけ間隔を詰めて密度を維持する。季節は春。
- カバーしきれないところは赤紫蘇(シソ)の種を撒く。他のお気に入りでも構わない。季節は春。
- グランドカバーと雑草の競争環境で除草を続ける。季節は春~夏~秋。
- 除草が追いつかないところ、赤シソも育たないところは、チップ・砂でマルチングを施す。一種のギブアップ宣言。季節は夏。
- 土壌改良。必要かつ可能であれば植え替えも。レイアウト見直し。季節は冬。
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